最強のふたりは2011年に公開された、四肢麻痺の障害を持つ大富豪フィリップと貧困層の移民ドリスの交流を描いたフランス映画です。
最強のふたりで描かれた2人は劇中で、身分と障害の差を超え、深い絆で結ばれたかに思えましたが、最終的にドリスはフィリップの元を去ることになります。
実話がモデルになっているこの映画ですが、実際の2人のエピソードも映画に負けず劣らずのエピソードが多く、目が離せない内容です!
また、現在の2人がどうしているのかも気になるところではないでしょうか?
今回は、最強のふたりのドリスがなぜ辞めたのかの理由とともに、モデルとなった2人の2023年現在の衝撃の事実について紹介します。
目次
最強のふたりでドリスがフィリップの世話を辞めたのはなぜ?
最強のふたりのドリスとフィリップは相性バッチリでしたが、最終的にドリスはフィリップの介護の仕事を辞めることになります。
映画の中では、ドリスはフィリップから辞めるように促されて仕事を辞めることになりますが、なぜフィリップが辞めるように促したのかの具体的な理由は語られません。
ですが、ドリスがフィリップのもとを去る前の劇中のシーンからフィリップの心中を察することができます。
最強のふたりでドリスがフィリップの世話を辞めた理由3選!
では、最強のふたりでは、なぜドリスはフィリップの世話を辞めることになったのでしょうか。
劇中のシーンから読み取れるドリスがフィリップの世話を辞めた理由が推測できる3つのシーンについて解説していきます。
理由①ドリスを家族のもとに帰そうとした?
フィリップがドリスに辞めることを伝える前の出来事ですが、ある日、フィリップの屋敷にドリスの弟が訪ねてきます。
ドリスはフィリップの屋敷に住み込みで働いていましたが、フィリップはドリスの身の上は知りませんでした。
しかし、この日フィリップは初めてドリスの複雑な家庭環境を知ることになるのです。
そして、頼るところがなくドリスを訪ねてきた素行の悪そうな弟の様子から、ドリスは家族のためにも本来の家にいるべきだと察したのです。
このシーンでフィリップが、ドリスに対して、家族の元へ帰らせる直接的な言葉はありません。
ですが、ドリスとの会話の中での「弟にはしつけが必要じゃないのかね」、「これは君の一生の仕事じゃない」というフィリップの言葉から、フィリップがドリスの将来と家族を案じていた心中を察することができるのです。
理由②若いドリスには介護以外での将来の可能性があると判断した?
ドリスは、貧しいスラムの環境で育った典型的な低所得の素行不良者でした。
しかし、フィリップと過ごすうちに、これまでになかった絵画やクラシックなどの上質な芸術に触れる機会をもつようになったのです。
そして、たくさんの芸術に触発されたドリスは1枚の絵画を描きます。
ドリスの絵を見たフィリップは、ドリスの才能に可能性を感じ、その絵を知人に見せるのです。
すると、知人からもドリスの絵は好評で、約1万ユーロ(日本円で100万円以上)で売れます。
このことからフィリップは、第三者にも認められたドリスの才能に、芸術家としての可能性を見出していた可能性があります。
理由③フィリップが新しい人生を迎えることが出来た
フィリップには半年間文通をしているエレオノールという女性がいました。
自身に障害があることを気にして、エレオノールと距離を置いていたフィリップでしたが、ドリスのおかげで電話をするようになり写真の交換もできるようになったのです。
そして、映画のラストでは、ドリスの後押しによりエレオノールと対面することになります。
ドリスは、フィリップとエレオノールが楽しそうに語り合うのを確認すると、微笑みながらその場を立ち去って行くのです。
これまで、ドリス以外に心を開けなかったフィリップが新たなパートナーと対面できた、このシーンは、それぞれの新たな人生の始まりを描いているかのようです。
【ネタバレ有】最強のふたりのあらすじは?起承転結で紹介!
最強のふたりは、現在でも評価の高い名作と言える映画です。
既にみたことある方にも、見たことない方にもわかりやすく、最強のふたりのあらすじを起承転結の形でネタバレ紹介します。
起:ドリスとフィリップのカーチェイス
映画の冒頭は、ドリスとフィリップが夜の街を高級車で暴走するシーンから始まります。
しばらくすると、ドリス達はパトカーに追われることになりますが、そんな車内でドリスはフィリップに対し「逃げ切るに100ユーロ」と賭けを持ち掛けます。
この賭けにフィリップが乗ることによって、ドリスは車を更に加速させパトカーから逃げ切れるかを賭けてのカーチェイスが始まるのです。
結局、パトカーに捕まってしまうドリス達ですが、警察官に対し、ドリスは暴走していた理由を「障害者のフィリップが発作を起こして病院に行く途中だ」と嘘の言い訳をします。
ドリスの言い訳に合わせてフィリップが発作のフリを始めると、慌てた警察官は見逃してくれると共に病院までパトカーで先導してくれることになるのです。
その後、パトカーに先導されて病院につきますが、警察官が立ち去るのを確認すると、2人もその場から走り去るのでした。
承:ドリスとフィリップの出会い
物語は、カーチェイスの数か月前にさかのぼります。
きらびやかな装飾に囲まれたフィリップの屋敷に、フィリップの介護の仕事を求めて多くの志願者達が集まっています。
その中、周囲とは明らかに毛色の違う粗末な格好をしたドリスが面接室に入ってきます。
そして、ドリスは部屋に入ってくるなり、失業手当を受けるための就職活動の証明書類へのサインを求めるのです。
鼻から面接に受かるつもりで来ていないドリスは、フィリップの質問にも皮肉のこもったジョークを返すばかりで真面目な回答をしません。
ですが、これまでの志望者と違う、型破りな人間性のドリスに興味を持ったフィリップは、ドリスを雇用することにするのです。
その後、仕事を始めてからのフィリップは、無神経な発言と常識外の行動を次々に起こします。
しかし、フィリップは、障害者である自身を哀れみの目でみることなく、全てを笑いに変えるドリスの人柄に次第に心を開いていくのでした。
転:エレオノールとの文通
ドリスは働き始めてしばらくして、フィリップがエレオノールという女性と文通をしていることを知ります。
フィリップは半年間エレオノールと文通をしていましたが、ポエムのような文を書いた手紙のやり取りをしているだけで、エレオノールの顔や声も知らない状態でした。
そのような煮え切らない関係性にしびれをきらしたドリスは、勝手にエレオノールに電話をします。
電話することを嫌がっていたフィリップですが、ドリスが電話をかけてしまったために、渋々エレオノールと電話をすることになるのです。
その後、フィリップはエレオノールと打ち解けたものの、今度はエレオノールから実際に対面することを求められます。
しかし、自身の障害を打ち明けていなかったフィリップは、エレオノールと会うことにためらいがありました。
そのため、フィリップは待ち合わせのレストランに行きはしたものの、エレオノールと対面する寸前で帰ってしまうのです。
結:ドリスとフィリップの別れ、エレオノールとの対面
フィリップの屋敷をドリスの弟が訪ねてきたことをきっかけに、フィリップはドリスの複雑な家庭環境を知ります。
そして、ドリスの家庭事情を知ったフィリップは仕事を辞めるようにドリスに伝えます。
こうしてドリスは仕事を辞めて、弟と共に家族のもとへと帰ることになるのです。
その後のフィリップは、新しい介護士を何人か雇いますが、ドリスのように心を開ける介護士が見つからず、次第に介護自体を拒否するようになり、心を暗く閉ざしていきます。
しかし、そうしたフィリップの様子を見かねた屋敷の使用人がドリスへ連絡をします。
使用人から連絡を受けたドリスは夜中にも関わらず、すぐにフィリップの屋敷へ駆けつけると、フィリップを車に乗せて外へ連れ出すのです。
こうして、ドリスは、沈んだフィリップの気持ちを吹き飛ばすためかのように街中を暴走し、物語は劇中冒頭のカーチェイスへと繋がっていきます。
カーチェイスの後、車を走らせ海沿いのペンションへとやってきたフィリップは、久々のドリスと過ごす時間に笑顔を取り戻していきます。
そして、昔のように2人でレストランにランチにいきますが、ドリスが急に店の外へと出て行ってしまいます。
フィリップは、なにが起きているのか混乱しますが、しばらくしてその場に現れたのは、以前会うことが叶わなかったエレオノールの姿でした。
こうして、フィリップはエレオノールの姿に喜び、語り合うことになります。
ドリスは喜ぶフィリップの様子を外から確認すると笑顔で立ち去って行き、2人はそれぞれの人生を歩むことになるのです。
最強のふたりに気まずいシーンは無い?
最強のふたりには、裸の女性が出たりする気まずいシーンはありません。
しかし、ドリスが、フィリップの障害をネタにしたセンシティブなブラックジョークを頻繁に言いますし、下ネタを話すことも多いです。
また、フィリップの耳が性感帯であることからの、女性に耳をマッサージしてもらうような独特のシーンは、人によっては気まずいと感じてしまうかもしれません。
さらには、マリファナを吸わせてフィリップを落ち着かせたりするなど、きわどい言葉やシーンが散りばめられているのは事実です。
このきわどい部分まで演出するリアルさこそが、この映画の奥深さを表す素晴らしいところであります。
しかしながら、親子で見るときは、お子さんへの適切な解説がないと気まずい空気になるかもしれません。
フィリップは文通相手と結婚して子供が出来た?
最高のふたりのエンディング後に「フィリップは再婚し2人の娘に恵まれた」という字幕が出てきます。
そうしたことから、フィリップがドリスと別れたあとに再婚して子供が出来たことは間違いありません。
実際のフィリップのモデルとなったフィリップさんの再婚相手は、「カディジャ・ナジミ」という名前のモロッコ人の女性です。
映画の物語の流れから考えると、このカディジャさんが文通相手であって欲しいとは思いますが、結婚前に文通をしていたのかは不明です。
最強のふたりは実話がモデル!ドリスとフィリップの現在は?
劇中冒頭の字幕にも出てくるとおり、最強のふたりは実話をもとにした話です。
そして、ドリスとフィリップのモデルとなった2人は現在は別々の人生を歩んでいます。
現在の2人の状況について解説します。
最強のふたりと実話では異なる設定も?
最高のふたりは、映画と実話で設定の違いがあるのでしょうか?
まずは、モデルとなった人物の紹介をしましょう。
フィリップのモデルとなったのは「フィリップ・ポッツォ・ディ・ボルゴ」という名前のフランス人実業家です。
フィリップさんは、フランス名門貴族の家系に産まれ先祖代々の資産家でしたが、映画と同じくパラグライダー中の事故により四肢麻痺の障害を負いました。
そして、ドリスのモデルとなったのは「アブデル・ヤスミン・セロウ」という名前のフランス系アルジェリア人です。
アブデルさんは、幼少期のころから貧しい暮らしで、何度も窃盗や暴行を繰り返しており、20歳のころに刑務所に入りました。
その後、仮釈放されたときの就職活動中に、フィリップさんと出会って人生が大きく変わることになりました。
映画内でのドリスは黒人移民でしたが、実際のドリスはアブデルという名前のアラブ人移民です。
また、2人が過ごした期間は、映画内では数か月間~1年くらいの出来事のように語られていますが、実際のフィリップさんとアブデルさんは1994年から2004年の10年間も、共に過ごしているのです。
実際のフィリップさんとアブデルさんの関係性は映画と変わらず、アブデルさんがフィリップさんを外に連れ出して、無茶なことをたくさんしていたそうです。
そして、フィリップさんはアブデルさんを雇うまでに約90人もの介護士と面接したそうです。
実際のアブデルさんも映画のドリスと同じく、フィリップさんの面接には就職活動の証明のサインをもらいにきただけでした。
ですが、何にも縛られずに自分を持っていたアブデルさんのまなざしに魅入られてフィリップさんは、アブデルさんを雇うことに決めたのだそうです。
ちなみに、映画と同じく、警察官に対して発作を起こした演技を本当にしたことがあるそうですが、嘘が見破られて失敗したんだそうです。
さらに、劇中内でも触れられていたドリスの無免許運転ですが、アブデルさんも実際に無免許だったそうです。
これについてフィリップさんは「アブデルは無免許だったが誰よりも車を速く走らせることができた」と皮肉を言っています。
このように、小さな設定の違いはあるようですが、最強のふたりは、大まかには実話に忠実に作られた映画であるようです。
ドリスとフィリップの現在は?
フィリップさんは、2004年にアドベルと別れてからはモロッコで出会った女性と結婚し、モロッコに住んでいました。
その後、モロッコで生活していたフィリップさんでしたが、2023年6月1日72歳で逝去されました。
アドベルさんの現在は、結婚して3人の子供がおりパリに居住しているそうですが、アルジェリアで農場の経営などもしているようです。
フィリップさんが健在だったころは、ときおりモロッコまでフィリップさんに会いに行っており、2人の関係性はずっと続いていたそうです。
最強のふたりがつまらないとの声も?
最強のふたりはフランス映画ですが、フランス映画は全体的にみると、日本ではあまり評判が良くないのが実際のところです。
ですが、最強のふたりの評判を調べたところ、つまらないという悪い評判を見つけることができませんでした。
反対にフランス映画にも関わらず良かったという良い評判はありました。
つまらないかどうかは自身で確認するのが良さそうです!
最強のふたりはハリウッドでリメイクも!
最強のふたりは、ハリウッドで2017年にリメイクされています。
原作と違って舞台がパリからニューヨークに変わっているので、所々の設定がアメリカ向けに変更されています。
大筋のストーリーは一緒ですが、全体の雰囲気は大きく違う印象です。
フランス映画とアメリカ映画の特色の違いが鮮明に出ているので、是非、両方観て見比べて頂きたいところです。
最強のふたりの絆は永遠に繋がっている
最強のふたりのドリスがなぜ辞めたのかは、いずれの理由にしても前向きな別れであったと言えます。
モデルとなったフィリップさんの訃報は残念ですが、アドベルさんと作り上げた2人の物語は全世界の方に、感動のメッセージを残したことは間違いありません。
フィリップさんが逝去された今でも最強のふたりは堅い絆で結ばれていることでしょう。